箱から出て交感しよう

昨日はきらら体操教室の忘年会に出席させていただいた。「きらら」は、変形性股関節症の患者のための体操教室で、保存の人も人工関節の人も皆楽しく参加している。股関節症でも出来る心地よい運動の後には毎回ランチがあるが、昨日は忘年会だからいつもより高級なランチを囲み、いつものように患者同士の話が弾んだ。

 

私のテーブルのメンバーはたまたま同世代同士。で、昨日の会話のキーワードは「箱」だった。

 

「私たち世代って、レールの上を沿って進み、箱の中に入っていれば、結構ノホホンと過ごせた世代なんだよね。だからある意味おっとりしてる。ちょっと上の人たちだと、もっとずっと元気で自主的に人生を楽しんでいる人が多い気がする。」

 

「ああ、それは上の世代の方が人数多くて競争厳しいからかもね~。でも私たち股関節症患者は、もうみんなと同じ箱の中にはいられないんだよね。普通の人と同じように歩けなくなった時点で、箱から出なければ次には行けないわけだから。」

 

「でもそれにはすごく勇気が要る。きららに入る時も、来る前はどんなところなんだろうってすごく心配で、最初は壁に隠れて中を覗く感じで・・・」

 

「でも来てしまえば楽しくて、心配することなんかなかったってすぐにわかる。結局、箱って何?って思うと、自分で勝手に枠を作って勝手に不自由になってるだけなんだよね。」

 

「わかる!思い切って箱から出たら、一気に自由になれるのに、箱の中にいるとそれがわからない。私、前より自由になったって思うもの。」

 

「私も!箱から出て自由を知ったら、実はその方が全然楽だし、楽しいんだよね!」

 

「それと、箱から出てからの方が、箱の中にいる友達とも楽しくやれるようになった気がする。それまでは、みんなの中で私だけ股関節症になっちゃって、なんで自分はこの人たちみたいに着実に過ごして来なかったんだろう?って自分を責めて落ち込んだりしてたけど・・・」

 

「私もそれは思う。それどころか今じゃ箱の外の人とのコミュニケーションの方が逆に楽しかったりする。新たな世界との新たな出会いに感謝だよ。」

 

「わかる!私も最近すごく良い出会いが多いんだよ~~~!!」

 

という会話をした同世代の脚友さんたちとも実はきららで会って話すのがこれで2回目。私にとっては今日のこの忘年会も既に確実に良い出会いのひとつなのだ。

 

 

で、今日になって改めて考えてみる。

 

 

私たちが箱を出る必要があるのは、従来の、脚が悪くなかった頃の箱の中に居続けていても、自分の脚の状況を改善させるために必要な情報はもはや取れないからだ。今はネットが発達しているので大概のことはパソコンで調べられるとは言っても、自分の個別的な状況に本当に必要な個別的な情報は、最終的には対面でしか得られないと私は感じている。

 

ではなぜ対面なのか?

 

それは、対面が一番、相手との本当のコミュニケーションに繋がるからだと思う。

 

困っている人から助けを求められれば、喜んで力を貸してくれる準備のあるプロの仕事人は実は世の中には沢山いる。私自身、ここ一週間このサイトのために文章を書いていて改めて感じていることだが、このサイトに登場してくる、今の私の股関節の状態を支えてくれている関係者は、ひとりの漏れなく、全員がプロの、そしてプロの中でも特に一流の仕事人ばかりだ。困っている私たちは、勇気を出して箱から出よう。そして一流の仕事人の前に立ち、その方たちに自分の窮状を訴え、力を貸して欲しいと本気でコミュニケーションをとってみよう。この時ちょっと難しいのは、一流の仕事人が必ずしも地位や名声があるとは限らない点。ホントの一流は、逆にそういう世俗的なものに全く興味がない場合が多いというのも、変股症治療のグレーエリアを旅しているうちに分かってきたことだ。

 

 

本当のコミュニケーションのことを、恩師PTは「交感」と呼んだ。

 

交感がちゃんと出来ると、相手と自分との間に新しいものが生まれる。相手のチカラが自分のチカラと協調し、融合すると、そこにはそれまでにはなかった新たな種類のエネルギーが誕生する。

 

 

で、昨日のきららの帰り道。

 

駅ビル内の魚屋でハタハタがひと山298円で売られていて、それを60代とおぼしき女性が、なんと一度に3山、袋に入れて貰っていた。

 

「これ、どうやって食べるんですか?」と思わず真剣に尋ねる私。

 

「ちょっと待ってね。」女性はハタハタの入れられた巨大な袋を魚屋さんから受け取り、それからわざわざマスクを取って、説明を始めてくれる。

 

「まず塩を全体にまぶすでしょ?そうしたらまあ冷蔵庫で一晩置いて、明日外に干すの。私はね、魚焼き網をこれのために沢山買ってあるからそれに乗せて干すんだけど、それがなければ無漂白のキッチンペーパーを、ほらお客さんが来るときに使うような大皿があるでしょ?あれの上に乗せれば良いから、とにかく外に干すのよ。」

 

「明日一日じゅう外で干すんですか?」

 

「いや、それはその日によって違うの。だからちょいちょい様子を見ながらね。水分が飛べば良いんだら。そうやって作った干物があるけど食べる?って聞くと、うちの娘なんかもう大喜びよ。今日は安いからね。沢山作って、その日食べられない分は冷凍にすれば良いのよ。あとはあなた、唐揚げも美味しいわよ。唐揚げなら塩をして乾かせば、今日でも出来るよ!うちは孫が大好物なの。お正月には娘や孫が12人集まるでしょ?だから私はもう牛肉も炊いて冷凍してあるのよ」

 

「ありがとうございます。試しにひと山だけ買って、まず干物を作ってみます♪」

ね?これも交感!(^^♪

 

変形性股関節症リハビリで得た知識

実は人生一般にもすご~く、役立っているのでした。

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